会社から契約が取れない私をみかねて、社長が全デモ同行することに決定してしまいました。
私にもプライドがありますが、結果が出ていない以上従わざるを得ません。
そして、ついに同行営業の日々が始まりました。
同行営業を受け入れられなかった理由
私の実績がおもわしくない上に、会社の経営状態は待ったなし。
こんな状態での決定事項なので従うしかありませんでしたが、正直な心境を言えば受け入れられませんでした。
理由は、営業マンとして長年売り続けてきたプライド。
それから、同行営業を言い出した社長のTさんとは、お互い営業マン時代に(社長と私はとある営業会社で働いていました)ライバルとして働いたことがあるのですが、数字が私のほうが上だったからです。
あとから考えてみれば、つまらないプライドですけどね。
ですから、「沢山アポを入れて、同行できない状況にしてやろうか」とか本気で考えましたが、そんなに次から次へとアポを都合よく量産も出来ません。
そうこうしているうちに社長との同行営業の日がやってきました。
大人げない抵抗
「さて、行きましょうか!」
基本的に内勤が多い社長にとって外出するのは楽しいのかもしれませんが、私は憂鬱でした。
やっぱり信用されていないという気持ちがあったからです。
ですから、「こうなったら社長の出番を無くしてやろう!」とめちゃめちゃクオリティの高いデモを打ちました。
一言も社長にしゃべらせずに契約まで持っていったりしたくらいです(笑
「あの~、せっかく付いてきてるんですから、少しくらい出番をくれませんか?」
こんなふうに言われたので、ある商談のときは「このまま自分一人で契約確実」という社長のフォローが必要ないような流れのなのに、「ここからはTがお話しさせて頂きますね!」と敢えて丸投げしたりもしました。
まるで子供です。
同行営業の成約率が半端なく高かった
最初のうちは子供みたいな悪あがきをしていましたが、同行を続けていくうちにある変化に気が付きました。
それは、明らかに成約率が上がってきたのです。
私がなかなか契約できなかった会社からも契約が取れるようになってきました。
「社長がいることで気合の入ったデモを打っているからかな…」
「やっぱり、二人で訪問することで、先方の受けるイメージが変わるのかな…」
最初は同行が嫌だった私も結果が出始めると認めざるを得ません。
上記のような理由もあったと思いますが、いろいろ考えた結果、とある結論に至りました。
「そっか!私が押せ押せタイプで、社長が引きのタイプだから商談にメリハリが出ているんだ!」
何度か2人で商談をしているうちに、私がグイグイと踏み込んで行くのに対し、社長は商談相手のいうことを受け止めるという役割が出来ていたのです。
そして、最初は嫌で嫌でしょうがなかった同行のデモが楽しくなってきました。
それはそうですよね、行けば決まるんですから。
最後のほうは阿吽の呼吸で何も言わなくても、お互い出るべきところ引くべきところが判るようになりましたし、「今日の商談はどちらが営業マンとしてお客さまに気に入ってもらえるか」をゲームのように楽しむようになっていました。
社長から学んだこと
社長に同行してもらって学んだことは沢山ありますが、大きく分けると2つありました。
ひとつは「引き」です。
私は営業の仕事を始めて以来「強気」なスタンスでやってきました。もちろん、その強気のおかげでやってこれたわけですが、「引き」がないと契約できないお客さまのある一定数いるんですよね。
社長は商談の現場で私に引きの営業を見せてくれたのでしょう。
そして、もうひとつは「知識不足」
私は営業の責任者として創業以来営業のことばかりを考えていました。契約後は業務担当者に引き継いでしまいますので、いつまでたってもコンサルの現場の知識が足りなかったんです。
やはり、現場のリアルな話というのは説得力が違うということを教わり、それ以来、現場担当のYさんからコンサルの現場の話をいろいろと聞くようになりました。
あまりに契約が取れるので「キャプテン翼のゴールデンコンビみたいですね」なんていう冗談をいう位になっていたのですが、ある日突然、同行営業の卒業を迎えることになります。
そのときの話しは次回お送りしますね。