
4月1日から数えてかれこれ何日位たった頃だろうか…
最低限の準備が整ったのでいよいよ営業活動をスタートできる状況になった。
「やっと、営業スタートか!」
晴れて本業というか自分に求められている新規顧客の獲得業務をスタートしたのだが、ひとりぼっちでマーケットに対峙するのは思いのほか大変なことだった。
法人営業物語は、創業メンバーとして起業するベンチャー企業で経験した真実をお送りするシリーズです。
実話の中から法人営業のコツを得てください!
シーンとした部屋でひとりテレアポ
ホームページの作成やらデモトークや資料の作成、テレアポ用のリストのピックアップなど、とにかく山のようにある営業以外の業務にある程度目途がつき、やっと営業活動をスタートする日が来た。
「俺がこの会社に呼ばれたのは新規顧客の獲得を期待されてのことだ。絶対にやってやる!」
その日は朝からものすごい気合で出社した。
朝8:50分
朝礼を終えてPCを立ち上げ、これからテレアポをするためのエクセルファイル形式のリストを開く。
一日の始まりはいつもピリピリするものだが、この日は普段に増してピリピリしていた。
9:00
業務時間スタートと同時にテレアポスタート。
今までBtoCの営業で個人宅へのテレアポなら数えきれないくらい電話してきたが、初めての法人へのテレアポは手が震えて電話のプッシュボタンが上手く押せない。
我ながらこんなに緊張するものなのかと苦笑いしてしまった。
そして、電話をかけ始めて気が付いたことがあった。
それは、テレアポをしている私以外はPCに向かって業務しているため、8畳一間のオフィスに私のアポトークだけが響き渡るのだ。
今までの営業会社であれば、周りにテレアポをする営業マンやアポインターがいたので、自分の声だけが際立って聞こえることはなかったが、今回は私独りしかいない。
正直、これはきつかった。
一言一句、他の3人に聞かれているからだ。
「今、取れると思いましたよ。惜しかったですね~」
こんな風に言われるたびに、「頼むから放っておいてくれないかな」って正直思った。
また、起業メンバーの中の唯一の女性であるAさんは営業会社の経験がない。
多分、テレアポがどれだけ取れないかを知らないだろう。
1件もガチャ切りされないということは不可能だとしても、私がテレアポで散々な目にあっている姿を見せ続ければ、ネガティブになってしまうに違いない。
「初日から結果を出し続けるしかない」
こんな戦いにはかなりの精神力が必要だった。
朝9時から夕方5時までぶっ通しのテレアポ
「私が新規の顧客を獲得しない限り、会社は立ち行かなくなってしまう…」
そんな気持ちからか、昼食とトイレ休憩以外は朝から晩までぶっ通しで電話をかけまくった。
しかし、ここでひとつ問題点が起きる。
それは、テレアポリストが全然足りないのだ。
もちろん、社長が不在の企業もあるのでリストの全てを消化してしまうわけではなかったが、1週間に100件ではいくらなんでもリストが少なすぎた。
朝電話して社長が不在だった企業に午後再度電話。
こんな感じで回すのにも限界がある。
また、法人営業の経験がない私は、コツをなかなかつかめなかった。
「社長、何かいい方法はありませんか?」
私が社長のTさんに相談すると「ありますよ」といってこう言われた。
「歯科医院を攻めましょう!」
「何故!?歯科医院?」
こんなふうに思ったのだが、そこには大きな理由があったのだ。