
「人は特別扱いされることが好き」
こんな深層心理をくすぐることが出来れば、相手から好かれることや信頼を得ることが出来ます。
そこで今回は「ハード・トゥ・ゲット・テクニック」をご紹介します!
ハード・トゥ・ゲット・テクニックとは
まずはハード・トゥ・ゲット・テクニックがどんなものか知ってもらいたいので、以下の引用を見てください。
人は、「あなただけは特別」という特別扱いに弱い。なぜなら、人には特別扱いされたいという心理があるからである。特別扱いされると相手と特別な関係があるように錯覚して、相手に好意や信頼を寄せてしまう。
人間の基本的欲望である5つの欲望の1つに、「承認欲」がある。これは、人が自分を認めてほしいという願望を持っていることを表しているのだ。
アメリカの心理学者であるシェーラーは、褒められることから喜びの感情が起こり、そこから好意的行動を誘発すると述べている。このような人間の心理を応用したものが、ハード・トゥ・ゲット・テクニックなのである。
わかりやすい例をあげれば、女性に「お姫様願望」ってあるじゃないですか。
「私だけに○○してくれる」
女性はこんな男性に惹かれるものです。
これは引用にもありましたが、「私だけ」という特別感が基本的欲求である「承認欲求」を満たしてくれるので、欲求を満たしてくれる相手に好意を持つわけです。
そして、この承認欲求は女性だけでなく、老若男女全ての人が多かれ少なかれ持っていますので、それが商談相手の社長であっても例外ではありません。
例えば、アメックスのゴールド・プラチナ・ブラックカードってありますよね。
あれなんかもカードを持っていることによって、空港の専用ラウンジが無料で使えたり、コンシェルジュがついたり、富裕層に「あなたはセレブですので、特別扱いしますよ」という「特別扱い」で承認欲求をくすぐっているから、高い年会費を払ってもカードを保有する人が多いわけです。
ハード・トゥ・ゲット・テクニックを使った営業トーク
では、全ての営業マンが明日からハード・トゥ・ゲット・テクニックを使える簡単な方法をお教えします。
それは、商談のトークにハード・トゥ・ゲット・テクニックを入れるという方法です。
効果的な言い回しの例は以下の通り。
- ここだけの話ですが…
- ここだけの話にしておいて欲しいのですが…
- 社長だからお話しさせていただきますが…
- 御社は特例ですよ!
- 今日は御社用に特別プランをご用意してきました!
どうですか?
こんな風に言われて悪い気がする人はいないと思います。
特に、上から3つに関しては、商談中に「枕詞」として使うことで相手の承認欲求を満たすだけでなく、その後の話に集中させることが出来ますので効果は絶大です。
注意点としては、「ここだけの話」を連発しないこと。
3つも4つもここだけの話があったら、「この話はあちこちでしているんだろうな」と思われて信頼を得るどころか猜疑心を持たれてしまいます。
また、ライバル会社のことなどを話すときは、社名を伏せるなどビジネスマンとしてのマナーや配慮をするようにしてください。
「ここだけの話ですが、御社のライバルの○○会社は○○でしたよ」なんて言ったら、「この営業マンはうちのことも他でペラペラと話しそうだ」と警戒されて心を閉ざされてしまいます。
値引きする際にはハード・トゥ・ゲット・テクニックで即決を迫る
次に、どうしても値引きしなければならないケースでのハード・トゥ・ゲット・テクニックの使い方です。(事例でご紹介します)
以前こんなことがありました。
ドラッグストアを10店舗ほど展開している会社の社長との商談のときのことです。
この社長なかなかの切れ者で腹の中をなかなか見せてくれませんし、競合他社数社と相見積もりをとっていて、私から契約してくれる気があるのかどうか全くわからないタイプでした。
そして、その当時私が所属していた会社では値引きは全くと言っていいほどしていなかったのですが、その社長は値引きが当然のような対応をしてきます。
「この社長から契約をとるのであれば短期戦でなければ逃げられてしまうな…」
そんな風に感じていた私は、ある日勝負に出ました。
「この間の値引きの件どうなった?」
ドラッグストアの社長から携帯に突然の連絡!
そこで私はこのように言いました。
「社長、弊社とご契約していただくおつもりはございますか?もし、おありであれば、私は今から社長に電話を入れて値引きを取り付けられるか交渉してみます!」
そしてこう続けました。
「あと、社長にお願いがございます。弊社では通常値引きは行っておりません。従って、御社は特別になりますので、値引きしたとしても他言しないで頂きたいのです。通常価格でお申込み頂いている企業様が損した気分になってしまいますので。あと、私が値引きのOKを取り付けたあかつきには、ご契約していただけますよね?私も社長に直談判してまで値引きのOKをもらって、結局契約できませんでしたでは用が足りなすぎるので…」
その後、社内で値引きの話は難航しましたがなんとかOKを貰ってドラッグストアの社長に連絡すると「ありがとう。契約するよ」と約束を守ってくれました。
まとめ
ハード・トゥ・ゲット・テクニックの使い方はなんとなくわかりましたでしょうか?
最後に2つだけ。
まず、注意点があります。
それは、このテクニックは使い方によっては「猜疑心」を生んでしまうリスクがあるということです。
例えば、ほとんどの会社と値引きして契約しているにも関わらず「御社だけ特別に値引きします」などと調子のいいことを言って嘘だとばれた場合(法人の世界は意外と狭く思わぬ繋がりがあったりします)、「あの営業マン(会社)は嘘つきだ!」となってしまうわけです。
ですから、嘘はいけません。
2つ目は、ハード・トゥ・ゲット・テクニックは上手に使えばリピーターの確保などにも力を発揮します。
「御社はお得意様ですので、○%お値引きさせて頂きます!」
こんな風にリピートすることによって優遇される仕組みを作ればお客さまを囲い込むことも出来ますよ。