
「営業マンにはどんなスキルが必要なの?」「スキルアップする具体的な方法は?」のような疑問を持っている方向けに、法人営業(BtoB)・個人営業(BtoC)の経験があり、無形商材・有形商材を売りまくってきた私が、営業マンに必要なスキルとスキルアップの方法をお教えします。
スキルの必要性を実感しやすいように現場のエピソードも盛り込みましたので、今後の就活や営業活動にお役立てください!
営業マンに必要なスキル13個
営業マンに必要なスキルは細かいものを入れると数えきれないので、「最低でもこれくらいのスキルは必要」というものに絞った結果13個になりました!
- 課題発見力
- ヒアリング力
- コミュニケーション力
- 情報収集力
- 論理的思考力
- 行動力
- 論点を絞る能力
- 情報伝達力
- 人脈構築力
- 数理的能力
- 探求力
- 利害調整力
- 仮説思考力
最初から全てを持っている人はいませんし誰にでも得手不得手はありますので、営業の仕事を通してひとつずつ身に付けていけば問題ありません。
この先をしっかり読んで学んでください!
営業に必要なスキルの解説とスキルアップ方法
ここからは、上記13の営業スキルの解説と、具体的にどのようにスキルアップすれば良いかについて解説しますね!
① 課題発見力
課題発見力とは、現状を把握・分析して、抱えている問題を見つけていく力のことです。
ただ、同じ問題でも「既に顕著化している問題」もあれば「現状では表面化していないが、今後発生する可能性がある問題」、また「既に問題を解決しようと取り組んでいるが、その上で発生する問題」などの種類があります。
ですから、営業マンは「商談相手がどんな問題を抱えているかを的確に把握するスキル」が必要というわけ。
課題発見力を身に付けてスキルアップするには以下の3つを心がけるようにしてください!
- ゼロベース思考
- クリティカルシンキング
- 未来志向
ゼロベース思考は「前提や自分の思い込みをリセットして考えること」、クリティカルシンキングは「自分の考えを否定的に見て思い込みや先入観を排除すること」、未来志向は「今の現状ではなく、未来の現状をとらえること」です。
企業が抱えている課題を正確につかまないと良い提案ができない「有形商材を扱う法人営業」において、特に必要になるスキルです。
② ヒアリング力
ヒアリング力とは、相手の話をよく聞くだけでなく、相手が言いたいことを上手に引き出す能力のことです。
「お客さまに良い提案をするために必要」なのですが、だからといって矢継ぎ早に質問すれば「尋問みたいだな…」「初対面の営業マンにいろいろ答える必要ないでしょ!」と思われてしまうので上手くいきません。
ですから、ヒアリングに入る前に雑談をして「相手との距離を縮める」「緊張感を和らげる」などしておく必要があることを忘れないようにしましょう。
一般的にヒアリングは、システムやコンサルなどの無形商材を企業に売り込む法人営業で必要だと言われていますが、個人営業においても「クロージングで出てくる主人相談をクリアーしやすくするため」に「どんなご主人か」「ご主人との関係性(奥さんとご主人のどちらが強いか、夫婦仲が良いか悪いか etc)」などをさりげなく聞き出すときなどに使うことがあります。
新人営業マンや営業未経験者の方で「商談は緊張するので聞くことを忘れてちゃうかも…」と心配であれば、ヒアリングシートを見ながらでもOK!
「売るため」ではなく「良い提案をするため」と、相手が思うような雰囲気でヒアリングすることを心がけてみてください!
③ コミュニケーション力
コミュニケーション能力とは、対人のやり取りで、お互いの意思疎通をスムーズにおこなう能力のことです。
テレアポも商談も、更には社内の調整や根回しも全て対人ですので、コミュニケーション能力は営業マンにとって必須のスキルといえるでしょう。
ただ、「生まれ持った性格」などの影響を大きく受けるコミュ力を「一朝一夕でスキルとして身に付けるのは難しい」ので、最初はコミュ力が高い人の以下のような特徴を参考にして、少しずつスキルアップしてください。
- 清潔感のある外見
- しっかりとした礼儀礼節
- 相手の名前を呼ぶ
- 相手や相手の言ったことを否定しない
- 相手のタイプに合わせた対応をする
- 事前に相手のことを調べてネタを用意しておく
- 愛嬌がある
- 相手に話させるのが上手い
- 自分から心を開く
- 相手を褒める
- 爽やかな笑顔
- 話をしっかり聞く(相槌・メモを取るetc)
- 共通・共感で相手との距離を知事める
- 相手の気持ちを察することができる
- ユーモアセンスがある
- 自分のペースに巻き込み主導権は譲らない
まだまだ他にもありますので、周りにコミュ力が高い人がいたら観察してみましょう!
あと、営業マンのスキルとして一番大切なコミュニケーションスキルは「自分のペースに巻き込み主導権は譲らない」です。
商談は「契約に誘導するための会話」なので、本題に入ったら「ただただ楽しいだけの友人同士の会話」にならないように気を付けましょう!
④ 情報収集力![営業マンに必要なスキル④ 情報収集力]()
情報収集力とは、必要な情報に素早くアクセスでき、質の高い情報を入手する力のことです。
事前に相手の情報を得るスキルを身に付ければ、仮説を立てた上でしっかりとした準備ができますので「確度の高い商談」をすることができるでしょう。
法人営業の情報収集方法
法人は情報をHPなどで公開していますので、情報収集には以下のようないろいろな方法があります。
- ホームページ
- 求人サイト
- IR情報
- ブログ
- SNS
それぞれ簡単に説明します!
ホームページ
個人事業主が経営しているお店から一部上場企業まで、ほとんどの法人がホームページを持っています。
ホームページには「商号」「創業年度」「設立年度」「資本金」「本社所在地」「代表者名」「従業員数」「事業内容」「売上」などが掲載されているだけでなく、「企業理念」を見れば「その企業が最も重要視している価値観や考え方が分かりますし、「ごあいさつ」や「トップメッセージ」を見れば代表取締役の「顔写真」や「メッセージ」も載っています。
更に、法人によっては「役員全員の顔写真と経歴」なども載っているので、経営層との商談を予定しているのであれば、対面する前に相手の情報を得ることも可能。
その他にも「事業分野」や「グループ・関連会社一覧」、「中期経営計画」など、本当に多くの情報が載っていますので、ホームページに目を通すのは営業マンの情報収集のスキルとしては基礎中の基礎だと認識し、決して怠らないようにしましょう
求人サイト
マイナビやリクナビなどの求人サイトには、企業のホームページには掲載されていない「社員の給与、昇給・賞与、諸手当、休日・休暇、福利厚生」などの待遇面の情報や現場の状況や声(求人者に自社の魅力を訴求するため)などが載っているのでいろいろと参考になります。
IR情報
IRには「企業が株主や投資家に対して財務状況など投資の判断に必要な情報を提供していくこと」と「顧客や地域社会等に対して、経営方針や活動成果を伝える」とい2つの狙いがあり、営業マンの情報収集減としては外せません。
IR情報は企業のホームページの「投資家情報」のページを見るか、IRBANKの検索ボックスに調べたい企業の社名か証券コードを打ち込めば見ることができます。
ブログ
ブログを書いている社長は多く、その中で「ビジネスに対する考え方」や「プライベートの情報」などを得ることができます。
SNS
ちょっと前まではビジネスマン御用達のSNSはFacebookでしたが、最近ではTwitterやInstagram、TikTokなどいろいろなSNSで情報発信をしている社長や取締役、広報や人事担当者が増えました。
更に、専用アカウントで情報発信をしている企業も多いので、情報収集減として使わない手はありません。
ちなみに、私はTwitterで情報収集用アカウントを作成して、「商談相手のアカウント」や「既存顧客のアカウント」をフォローし、出社前やランチタイムはもちろん、移動時間などの隙間時間にサクッと情報収集をしています!
情報収集において大切なのは「好奇心」です。
相手に興味持てば自然と知りたくなり、情報収集が辛い作業になりません。
個人営業の情報収集方法
法人に比べると個人の情報を得るのは難易度が高いです。(個人情報保護法で守られているため)
しかし、全くできないわけではなく「現場で情報集」することが可能!
以下に例をあげておきますので、参考にしてみてください。
- 住居でおおよその経済力(戸建てかマンションか、賃貸か分譲かetc)
- 洗濯物や玄関ドアのプレートなどから、家族構成や居住者の年齢層
- 玄関前の自転車、玄関の靴などから在宅してる人(ママ友が遊びにきている、子供が沢山集まっているetc)
- 玄関やリビングの散らかり具合から「だらしない」「几帳面」などの奥さんの性格
- 訪販の商品やアムウェイの商品があれば「営業マンからモノを買う人」と分かる
私はもともと訪販の出身ですので、これ以外にも多くの情報を現場で見つけて「どのような商談をするか」の参考にしていました。
いろいろ観察する癖をつけるところから始めてみてください!
⑤ 論理的思考力
論理的思考力とは、網羅的に論点を整理し問題を解決できる力のことです。
具体的には、「比較分析して考察する」「自分の知識や体験をもとに判断して課題を解決する」「筋道を立てて論述する」のような力のことを指します。(ロジカルシンキングとも呼ばれている)
「営業マンのスキルで最も大切なのは?」という質問をすると「コミュニケーション能力」という答えが返ってくることが多いですが、論理的思考力はそれと並ぶくらい大切なスキルです。
常に以下のことを意識しながら日々の営業活動をし続けることで「少しずつ身につく」ので忘れないようにしてください!
- 抽象的な考え方や言葉を使わず、具体的な考え方や言葉を使う
- クリティカル・シンキングをして、主観や先入観で物事を決めつけないようにする
- 本質を見抜く
- 自分の主張には必ず根拠を用意する
論理的思考力を身に付ければ、「説得力が増す」「顧客に刺さる提案ができる」など営業マンとしてのメリットは絶大です。
⑥ 行動力
行動力とは、思ったことを自ら積極的に行動に移せる力のことです。
「当たり前でしょ!」と思ったかもしれませんが、長年営業の現場で数えきれないほどの営業マンを見てきた経験で言わせてもらえば、本当の行動力を持っている営業マンは1%くらいしか存在しません。
例えば、「目標達成のためにはアポ取りをして行先作りが必要」と分かり切っているのに、何件かガチャ切りが続いたり、こっぴどく怒鳴られただけで、「あ~、やってられないわ…」と給湯室に逃げ込んでしまうような営業マンって多いじゃないですか。
「でも、自分の会社には各営業所にトップ営業マンがいるので、1%は少なすぎでは?」と思う方がいるかもしれないので言っておきますが、社アポがもらえなくなった途端に全然売れなくなるトップ営業マンは珍しくないですからね。
雨が降ろうが槍が降ろうが「目標達成する!」と決めたら、それに必要な行動をし続けるのは簡単なことではありません。何故なら、営業会社は毎月毎月目標を追い続けなければならないからです。
行動力をスキルと言えるレベルで身に付けるためには、以下のことを実践する必要があります。
営業マンが商品やサービスの隅から隅まで丁寧に説明すれば、限られた商談時間内で契約までもっていくことができなくなってしまいますよね。
ですから、顧客の求めている情報を察知し、営業マンは手持ちのカードの「どれを切るか」「どの順番で切るか」を的確に判断して短時間で商談をまとめ切る必要があるんですね!
営業マンが何もしなくても「商談大歓迎」「前のめりになって営業マンの話を聞く」なんて顧客はいませんので、論点を明確にして「短く」「分かりやすく」商談をするように心がけましょう。
⑧ 情報伝達力
情報伝達力とは、物ごとの情報を正確に相手に伝えて理解させる力のことです。
よく言われていることですが、「中学生でも理解できるように話す」くらいで丁度良いと思ってください。
情報伝達が下手な営業マンがやりがちなことを例としてあげておきますので、自分に思い当たるものがあったら即改善することをおすすめします。
- 横文字表現を使う
- (商談相手が知らない・分からない)専門用語を使う
- 論点が明確ではない・論点を絞れていない
- 曖昧な表現を使う
- 相手が求めていない情報を一所懸命に伝える
これ以外にも「話すスピードが速すぎる(遅すぎる)」「活舌が悪い」などの話し方が情報伝達に悪影響を及ぼすことも忘れてはいけません。
⑨人脈構築力
人脈構築力とは、新たに出会った他人と継続的に良好な関係を築くだけでなく、更なる新たな出会いに発展させる能力のことです。
営業職ほど多くの方々にお会いする仕事はありませんよね。
そんな仕事をしているにも関わらず、常に「カツオの一本釣り」のような営業をし続けているのであれば、あなたは人脈構築力ゼロの営業マンだと言わざるを得ません。
だからといって「異業種交流会」などに参加しなくても大丈夫。
日々の商談相手はもちろんですが、社内の人間に至るまで「毎日、関わる方々との人間関係を少しでも深める努力」をすることから始めてください。
毎日継続し続けていれば、人脈は後からついてくるものです。
ちなみに、人脈ができると「紹介だけで月間目標を達成してしまった」なんてことが起きることもお伝えしておきますね!
⑩ 数理的能力
数理的能力とは、物ごとを数理的に考察する能力のことです。
「情報やデータをもとに、論理的に結論を導き出すスキル」と言えばわかりやすいのではないでしょうか?
分かりやすい例をあげてみます。
いや~、先月はモチベーションが全然上がらなかったから、今月から本気出すわ!
先月は目標達成率95%で終わっちゃったなぁ… 目標達成には「訪問数を増やす」「受注単価を上げる」の両方かどちらかが必要だけど、スケジュール的に「訪問数を増やす」のは無理。そうなると、月の平均契約数が●件、現状の平均単価が●円だから、目標達成するためには1件単価を●円上げればいいわけか!
営業の仕事は「モチベーションが大事」なことは確かですが、営業マンAのような何の根拠もない状態では今月の目標達成は難しいでしょう。
営業マンBのように過去の自分の営業成績のデータを参考にして「具体的に何をすべきか」を数字も含めてハッキリさせれば、目標達成に向けて迷うことなく邁進できます。
自分がAのような営業マンだと思うのであれば、数理的能力をつけるようにしましょう。
⑪ 探求力
探求力とは、何かの実現や何かを手にいれることをひたすら追い求めることです。
※ 似たような言葉に「探究力」があり、「物事の本質を探って見極めようとする力」なので混同しないようにきをつけてください。
「途中で投げ出さず最後までやり遂げる姿勢」は営業マンにとって最も大切で、探求心の有無は営業マンとしての成功や厳しい営業の世界で生き残っていけるかどうかの重要なカギになります。
しかし、これまでの人生で「何も成し遂げたことがない」のであれば「成し遂げる強い意志を持つ」、「いろいろと投げ出してきた」のであれば「すぐに逃げだす悪習慣を直す」のは簡単ではありません。
ただ、「じゃあ無理だな…」と諦める前に考え欲しいことがあります。
それは、営業で成功するのは、「オリンピックでメダリストになる」「W杯で優勝する」ような難易度が高いことか?ということ。
アスリートをはじめ、ミュージシャンや芸術家などは「持って生まれた才能」「想像を絶する努力」、更に「運」もなければ成功することは出来ません。
それどころか、専業で食っていくことすら難しいですよね。
一方、営業は給与がもらえますので辞めない限り生活が成り立ちますし、「才能」や「運」がなくても「継続的に努力する」ことで成功の階段を確実に上ることができるわけです。
これまで何も成し遂げたことがないのであれば、営業は何かを成し遂げるチャンスですよ!
そのために探求心を身に付けましょう。
⑫ 利害調整力
利害調整力とは、利害が対立することがある人の意見や主張を調整して、上手な落としどころをみつけて納める力のことです。
スキルとして身に付けると、以下のようなメリットがあります。
- 業務をスムーズに進めらる
- 利害の対立を解決することができる
- 問題を円満に解決できる
- 利害の調整段階でいろいろな問題に気が付くことができる
利害調整力があれば、社内外に自分の協力者を増やすことができるので、「他部署を巻き込んだプロジェクトがやりやすくなる」「社外に人脈を構築することができる」など、何かと仕事がやりやすくなりますよ!
ちなみに、他人を無理やり抑え込んで強引に要求を通すようなことをしていると、気が付いたら周りは敵だらけになり、「会社に居づらくなって退社に追い込まれる」「取引先から突然契約を解除される」など、墓穴を掘ることになるので気を付けてください。
⑬仮説思考力
仮設思考力とは、まだ答えが出ていない問題に対して、持っている情報から推察し仮の結論(解決策)を導き出す力です。
例えば、日々の商談を「何の仮説も立てずに臨み続けている」のであれば、受注も否決も単なる結果でしかなく「そこから再現性を見出すこと」はできません。
ですから、仮説思考力のスキルを身に付けるために、必ず以下の3ステップをセットで行うようにしてください!
- 事前に仮説を立てる
- アクションする
- 結果の検証をする
常に仮説を立ててアクションし、その仮説が正しかったか間違っていたかは商談で答え合わせ、正解だったら「どのように考えることで正解を導き出せたか」を、不正解だったら「不正解の仮説になってしまった原因は何か?」を追求しましょう。
これを繰り返していると、100%にはなりませんが95%くらいは「商談が自分の仮説通りの展開になる」くらいの精度にすることができますよ!
まとめ
営業マンに必要なスキル13個と、それぞれのスキルアップの方法はいかがでしたか?
全部をいっぺんに身に付けようとする必要はありません。
焦らずひとつひとつ確実にスキルにしていってください!
営業部に配属される可能性が高い文系卒の就活生、右も左も分からない新卒の営業マン、他業種からの転職する営業未経験者の方などの参考になれば嬉しいです。