
無形商材の法人営業に対して「やりがいのある仕事なのかな?」とか「難易度はどうなんだろう…」と思っている就活生や再就職や転職を考えている方に、「やりがい」や「むずかしさ」のリアルをお教えします。
転職サイトがWEBサイトのPV数を稼ぐためにライターに書かせたような記事ではなく、実際に無形商材を法人に売り込んだ経験がある当ブログの運営者が経験をもとに書きました。
全く知識が無い方のために「無形商材の法人営業とは?」「無形商材の法人営業の種類」などの基礎的なことも書いてありますので、今後の就活や就職・転職活動にお役立てください!
無形商材の法人営業とは
形のない商品やサービスを企業(会社や個人店)に売るのが無形商材の法人営業です。
有形商材は形があるので「商品を見たり触ったりできる」「形のある商品に対する対価を支払う」ということから「営業マンも提案しやすい」ですし「顧客も(営業マンの提案を)納得しやすい」ですが、無形商材は「見ることも触ることもできない」ので「提案の難易度は高い」ですし、「支払いが何の対価なのか?」と思われてしまえば「顧客は納得できない」ので難易度は高くなります。
※ 有形商材にも「形がある商品やサービスなので比較されやすく質が悪ければ売れない」「価格競争になりやすい」などの難しさがある
ただ、無形商材の中にもIT・WEB業界のように、実際にサービスを見たり使ったりしてもらえる「半有形商材」のような商品やサービスも存在します。
無形商材の法人営業にはどんな種類(商品やサービス)があるの?
法人営業に売り込む無形商材には多くの種類があります。
どんな商品やサービスがあるのか具体例をあげますね!
IT・WEBサービス
さまざまなインターネットを使った商品やサービスなどがIT・WEBサービスです。
「会社のHP(ホームページ)やLP(ランディングページ)、アプリ開発」「会社の業務効率化を図るクラウドサービス」「各種セキュリティー系サービス」など、数多くの商品やサービスが存在します。
IT・WEBサービスにどんな商品やサービスがあるか詳しく知りたい方は、東証グロース市場に上場していて「情報・通信業」に分類されている企業が扱っている商品やサービスを見てみるといいでしょう!
コンサルティング
企業が抱えているさまざまな課題や問題を解決するためのアドバイスや提案をし、更に解決するのがコンサルティングです。
特徴としては、「戦略コンサル」「ITコンサル」「金融系コンサル」「医療系コンサル」など、多くの分野にコンサルが存在する点。
ちなみに、会社のHPを作成するだけであればIT・WEBサービス、PV数を増やすためにHPのどこをどのように変えればいいかをアドバイスするのはコンサルティングですが、HPの作成からコンサルまで一気通貫のサービスを扱っている企業もあります。
金融
金融商品でもっとも身近なのが銀行の渉外(営業担当)が扱っている「融資」や「金融商品の紹介」、証券会社のの営業マンが扱っている「証券」や「投資信託」などです。
保険
個人向けの生命保険や医療保険、学資保険などがあるように、企業向けの保険もあり無形商材のひとつです。
種類が多いので、以下に箇条書きにしておきますね!
- PL保険(生産物賠償責任保険)
- 施設賠償責任保険
- 役員賠償責任保険(D&O保険)
- 請負賠償責任保険
- 使用者賠償責任保険
- テレワーク保険
- サイバー保険
- セキュリティ保険
- IT賠償責任保険
- 個人情報漏洩保険
- 自動車保険
- 建設業総合保険
- 火災保険
- 工事保険
- 企業財産包括保険
- 動産総合保険
広告
以前からあるテレビCMや雑誌、看板や電車やタクシー内の広告、WEBサイトの広告から、最近はインフルエンサーマーケティングなど、世の中にあるありとあらゆる広告は無形商材です。
人材
人材派遣や人材紹介、再就職支援などの就労サポートも無形商材です。
誰もが知っているリクルートは人材派遣業界No1の企業ですし、「ビズリーチ!」というCMで有名なビジョナルなども人材系サービスを扱っているので、そのような会社のHPを見ると参考になりますよ!
無形商材の法人営業のやりがい
ここからは、実際に無形商材を法人に売り込んだ経験をもとに、仕事のやりがいについてお教えします!
営業力がアップする
有形商材は「形がある」ので、お客さまが見たり触ったり使ってみることができますのですすめやすいですし、商品やサービスの性能や価格などが折り合えば売ることは難しくありません。
一方、無形商材は「形がない」ので、お客さまは商品を見たり触ったり使ってみることはできません。ですから、提案の難易度は上がりますし、説明次第では「これにはお金は払えない」と判断されてしまいます。
つまり、有形商材よりも無形商材の方が「売れる売れないに営業マンが大きく影響してしまう」のです。
ですから、刺さる提案をするためのヒアリング能力や圧倒的に分かりやすく説明するスキル、営業マンとして信用に値するだけの問題解決能力や業界・商品知識、更にひとりの人間として信用されるコミュニケーション能力などは必須なんですね。
無形商材が売れるようになれば「有形商材も含めてどんな商品やサービスも売れる再現性」を手に入れることができるので、営業力は格段にアップすると言っても過言ではありません!
営業マンとしての市場価値が上がる
無形商材を法人に売り込むことが出来る営業マンは、有形商材を売っている営業マンや、BtoCの営業をしている営業マンよりも市場価値が上がります。
「営業力がアップする」のところで触れましたが、無形商材が売れるか売れないかは営業マンにかかっているので「無形商材を売ることが出来る営業マン」の市場価値は必然的に高くなります。
あと、営業人生のスタートがBtoCの個人営業だったので言いたくありませんが、時代の流れを考えればBtoCの営業マンの市場価値が上がる可能性は無いに等しいです。
世間の個人営業に対するイメージは悪いので、「訪問販売で全国トップの営業マン」という実績があっても「訪販会社以外の会社」が採用してくれる可能性は極めて低いでしょう。
また、有形商材を扱っている営業マンは「取り扱い商品やサービスが変わったら売れなくなる」ということがありますが、無形商材を扱っている営業マンは再現性のあるセールススキル持っていますので、商品やサービス、会社や業界を変えて「自ら市場価値を高めることも可能」です。
高収入
無形商材の法人営業の給与水準は他の営業職に比べると高いです。
理由2つ。
- 営業マン個人の能力で売上が大きく変わるから
- 無形商材は利益率が高いから
繰り返しになりますが「無形商材が売れるか売れないかは営業マンにかかっている」ので、企業は高い給与を営業マンに支払います。
また、無形商材は有形商材に比べて「生産コストが低い」ので利益率が高く、人件費にお金をかけられるという事情もあるんですね。
例えば、私が以前経験したコンサル業では、ノウハウを確立さえしてしまえば、移動の際の「交通費」、出張の際の「宿泊費」、あとは「調査費用」、あとは「人件費」くらいしか経費がありませんでした。
ですから、最後の最後に会社に残る純利益率が驚くほど高かった(笑)
もちろん、個人よりも法人の方が大きな取引になることが多く、大きな売上が上がれば賞与や歩合に反映されるという理由もあります。
会社の経営層との人脈が作れる
ターゲットにしている企業の規模や扱っている商品やサービスにもよりますが、無形商材の法人営業では「社長」や「取締役」の方との商談の機会も多く、仕事を通して自然に人脈作りができます。
人脈づくりのために異業種交流会などに積極的に参加する営業マンもいますが、そんなことをしなくても各種業界の経営層の方々とお会いする機会があるのは大きなやりがいを感じますよ!
無形商材の法人営業のむずかしさ
自分自身も営業マンとして大きく飛躍できるきっかけになった無形商材の法人営業はおすすめできますが、一方で最初の1年は苦戦したのも事実。
そこで、実際に現場を経験して感じた「むずかしさ」をまとめておきますので参考にしてください。
個人の営業力が問われる
無形商材は、不動産営業のようにモデルルームを見せることも内見してもらうことも出来ません。自動車販売のように実物の車を見せたり試乗してもらうこともできませんよね。
商談相手の方は「営業マンの話」を聞いて「導入するかしないかの判断」をしなければなりません。
ですから、個人の営業力がダイレクトに売上に影響します。
見えないものを「欲しい」と思わせるためには、商品やサービスを魅力的にアピールする必要がありますし、そのアピールが本当のことだと信用してもらうためには、営業マンの高い営業力が必須です。
勢いで衝動買いさせることができない
有形商材の個人営業の場合は「欲しい!」と思わせることで衝動買いをさせることができますが、無形商材の法人営業では衝動買いをさせることはできません。
個人のお客さまが有形商材を衝動買いするのは、「目の前の商品が魅力的なこと」「自分のお金で支払う」という2つの条件が揃っているからなんですね。
一方で、法人のお客さまが無形商材を衝動買いしないのは「商品が目に見えないこと」「会社のお金(自分のお金ではない)だから」です。
商品が見えなければ「慎重に考えよう」と思いますし、会社のお金ですから「下手なものに経費を使ったら責任問題になる」というプレッシャーもあるのは想像すれば分かると思います。
ですから、納得度の高い商談をする必要があるので難易度が上がります。
目の前の相手が決定権者ではないときの難易度が高い
法人営業では目の前の商談相手が「社長」や「取締役」とは限らず「担当者」の場合もありますよね。
そうなると、「上席に確認が必要」「稟議を通す必要がある」という流れになるわけですが…
無形商材の場合はサンプルを置いていくことができないので、渡した提案書と目の前の担当者の方の頑張り次第になってしまうわけです。
上席の方に同席頂ける再訪が可能であれば「直接対決」できますが、「1週間後にお返事します」のような場合は営業マンは関与することができないので難易度はめちゃくちゃ高くなるんですよ。
もちろん、こういう流れにならないように「決定権者からアポを取る」のが法人営業の基本なのですが、社長や取締役同席の商談を設定できることは稀な上場企業など大きな会社の場合はむずかしくなることが多いです。
それでも無形商材の法人営業は魅力的です!
無形商材の法人営業の「やりがい」と「難しさ」について経験をもとにお伝えしましたが如何でしたか?
「やりがいはありそうだけど難しそう…」と思った方もいるかもしれません。
ただ、個人的には無形商材の法人営業は魅力的な仕事なので、頑張るだけの価値は十分にあると思っています。
当ブログには法人営業のコツやノウハウの記事が数多くありますし、noteでも法人営業のノウハウを書いていますので、「無形商材の法人営業で頑張ってみよう!」という方は参考にしてみてください。
少しでもお役に立てたら嬉しいです。