1月8日に「埼玉県」「千葉県」「東京都」「神奈川県」に2度目の緊急事態宣言が行われ、更に1月14日から「栃木県」「岐阜県」「愛知県」「京都府」「大阪府」「兵庫県」「福岡県」も対象になりました。
さすがに2度目となると、「会社の資金がショートして倒産するかも…」と、頭を抱えているビジネスオーナーの方も多いと思います。
そんな窮地に立たされた方におすすめしたいのが家賃交渉!
店舗やオフィスなど、家賃が発生しているビジネスの方は是非読んでみてください。
※ ちなみに、家賃交渉のやり方まで教えると非弁行為になってしまいますので、この記事では家賃交渉のやり方は書いてありません。「そもそも家賃交渉ができるのか」など、非弁行為に当たらない部分をできるだけ解説します。
目次
吉野家が家賃交渉をしていた!?
ちょっとタイムリーな話題があったのでご紹介します。
1月14日の12時50頃、吉野家HDの株価が急伸しているという情報がありました。13日発表した2020年9~11月期の連結決算における営業損益が6億3400万円の黒字だったからです。(前年同期は4600万円の赤字だったため業績回復を好感した買いが集まった)
そして、その理由として賃料の減額交渉などのコスト削減が功を奏したと日経電子版の記事に書いてありました。
ご存じの方も多いと思いますが、吉野家HDは牛丼の「吉野家」だけでなく「はなまるうどん」などの業態もあり、国内外に3190店舗(2020年12月現在)もありますので、家賃交渉したときのコスト削減効果はとてつもないです。
そもそも家賃交渉ってできるの?
この記事を読んでいる方の中には、「そもそも家賃交渉ってできるの?」とか「家賃って下がるものなの?」と思っている方もいるかもしれませんので、そこから説明します。
家賃交渉は法律で認められている
家賃交渉に関しては借地借家法という法律の第32条で認められています。
(借賃増減請求権)
第三十二条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
契約更新時期でないと交渉できない
これもよくある誤解なのですが、契約更新時期でなくても家賃交渉は可能です。
家賃って下がるの?
100%の確率で下がるとは言いませんが、かなりの確率で下がります。
理由は簡単で、入居の際には店子側が圧倒的に不利だからなんですね。
例えば、どうしても入りたいテナントがあったとします。
ただ、ちょっと高いので「40万円にしてくれませんか?」と交渉したところで、「50万円で契約したいという話もあるんだよね~」と家主側に言われたらどうですか?
入居できなくなってしまうリスクがあるので、店子はゴリゴリ交渉できないわけです。
ちなみに、同ビル同フロアーで坪単価が全然違うなんてことがあることも伝えておきますね。
※ 但し、家主さん側もビジネスですので「下げたくても下げられない」という可能性はゼロではありません。
敷金の返還請求もできます!
家賃が高ければ高いほど預けている敷金の額も大きいですよね。
その敷金ですが退去のタイミングではなくても返還請求ができます。
そのお金を運営資金に充てれば、数か月はしのげるのではないでしょうか。
家賃交渉のコスト削減効果は半端ない
さて、ここまで読んでも「でも、家賃下げてくれってお願いするのもなぁ~…」と思っている方はこれを見てください!
「家賃削減=純利益アップ」
10万円家賃が下がるということは、毎月10万円、年間120万円の純利益になるという点を考えなければなりません。
もう一度言います。
売上が10万円アップではなく、純利益が10万円アップです。
コロナ禍で経営が行き詰まると「人件費削減」なども考えなければなくなりますが、その前に家賃削減にチャレンジすべきだと思いませんか?
交渉力に自信がある方は自力交渉をおすすめします!
最後に、アドバイスがあります。
それは、交渉力に自信があるのであれば、弁護士や家賃削減代行業者に依頼せずに自力で交渉してください。
理由はそれぞれデメリットがあるからです。
弁護士に依頼するデメリット
家賃交渉を弁護士に依頼するデメリットは2つあります。
1つ目は「大事(おおごと)になる」ということ。
家賃を下げてくれる家主さんは「いつも滞納せずにキッチリ家賃を収めてくれている店子さんのピンチだから」という気持ちで協力してくれるわけですが、そこに弁護士を入れたらどうですか?
下手をしたら「そっちが弁護士を立てるなら、こっちも弁護士を立てる!」なんてことになる可能性があります。
そして、弁護士を入れたことにより交渉が長期間になれば、その間に経営難でビジネスを続けられなくなってしまうかもしれませんよね。
あと、料金も高いのでせっかく家賃を下げてもコスト削減効果が出るのが遅くなります。
家賃削減代行業者に依頼するデメリット
家賃削減代行業者に依頼するデメリットは3つです。
1つ目は料金が高いこと。
減額金額の6ヶ月分のような安い業者もありますが、相場としては10ヶ月から12.6ヶ月くらいの間が多いです。
考えてみて欲しいですが、せっかく家賃が下がっても下がった金額の10ヶ月分を支払ったら、今後10ヶ月は家賃が下がっていないことと同じなんですよ。
2つ目は、家主と交渉する人の実力が未知数なところ。
依頼した代行業者のエース級の交渉人が担当してくれるとは限りません。
もしかしたら、新人の1回目の交渉かもしれませんよ…
ハッキリ言いますが、ビジネスオーナーや社長以上に交渉力がある、頭が切れるような交渉人は少ないです。
何故、ここまで言い切れるかと言えば、私は過去に家賃削減コンサルティング会社で働いていたので、業界のことは隅々なで知り尽くしているからです。
そして、3つ目のデメリットですが、家賃交渉は非弁行為ギリギリの業務だからというものがあります。
どうやって非弁行為を回避して交渉をしているかに関しては、企業のノウハウになる部分なので言えませんが、私が業界にいたときは何の対策もせず、非弁行為をしていたり、酷いところは弁護士を名乗って交渉に行くような業者もありました。(今は無いと信じたいですが…)
そんなところに依頼してしまったらと考えるとゾッとしますよね。
まとめ
コロナ禍のおすすめの経費削減として家賃交渉のお話をしました。
緊急事態なので、国も「固定資産税等の減免措置」のような家主救済措置も用意しています。
冒頭で言ったとおり、交渉内容を教えるのは非弁行為なので出来ませんが、弁護士のサイトなどを見ればいろいろ参考になることが書いてあります。
是非、この窮地を乗り切るために家賃交渉を検討してみてください!