私の長年の営業人生の中には「あの会社は本当にヤバい」という超絶ブラック企業がありました。
本当に何から何まで酷かったのであげればきりがありませんが、一番驚かれるであろう例を1つだけ上げるとしたら「1ヶ月の残業時間が270時間で残業代0円」でしょう。
「絶対嘘だろ!」と思う方がいるかもしれませんし、そう思われてもしょうがありません。
ただ、本当に本当なんです。
朝9時に出社し、翌日の午前2時まで会社に拘束される…
1日9時間残業×30日で270時間という計算です。
何故、こんな劣悪な環境にも関わらず数年間働いたかについては、シリーズものの「訪問販売物語」で後々ご紹介するとして、今回は「そんな超絶ブラック企業で得たもの」についてお話します。
残業270時間で残業代0円ってどういうこと!?
本題に入る前に、残業270時間と残業代0円について簡単に説明しますね。(信じられない人が多いと思いますので)
そのブラック企業は、通常のシーズンは13時出社で修行時間が21時。
ただ、21時に帰れることは極々まれで、0時くらいまでオフィスに拘束されます。
ですから、この状態でも1日3時間×30日で90時間、残業代0円。
問題は、全社で営業成績を争うコンテスト期間。
自分の金と見栄とプライドのために部下を朝9時に出社させ、翌日2時までオフィスに拘束するマネージャーだったので、1日の残業時間が9時間に跳ね上がり、それが休みなしで続くので30日計算で270時間になるというわけです。(しかも、コンテスト期間は年間4ヶ月にも及びます)
残業代ゼロに関しては、この会社の営業マンは業務委託契約の外交員なので固定給すらないので、残業代なんて概念すらありません。
「外交員なら拘束される筋合いはないのでは?」と思った方もいるかもしれませんが、「連帯責任」を盾に成績を上げている営業マンも帰らせてもらえないんです。
過労死レベルどころじゃない残業時間は人間をどう変えるか
話のついでに、本題の前にもうひとつだけ簡単にお話させてください。
お盆もお正月も1日くらいしか休みがなく、通常シーズンで1ヶ月90時間、コンテスト期間中は270時間にも及ぶ過労死レベルをはるかに超えた残業時間って人間をどう変えるか想像がつきますか?
ちなみに、残業と言っても上司から超絶詰められるなど、地獄のような時間の連続です。
結論を言えば、ほぼ全員が廃人になります。
幸いなことに、私は超毒親に育てられ、物心ついたときから父親に「いつ殺されるか分からない」という環境だったので、270時間の残業でもメンタルがやられることはありませんでしたが、そんな人ばかりではありませんからね。
普通の人生を送ってきた人は、見る見る目が死んだ魚のようになっていきます。
ただ、メンタルが強い私でも、体力的には本当にきつかったですね。
車通勤だったのですが、信号待ちで止まっている数分間の間に寝落ちするほど疲れていました。
そうそう、その会社では朝から社訓を叫んだりするわけですが、突然膝から崩れ落ちて救急車で病院に運ばれた人もいましたね…
あれで万が一のことがあったらと思うとゾッとします。
超絶ブラック企業で得たもの
今振り返ると、あの会社での3年間は人生に必要なかったと思いますが、得たものがゼロかというとそんなことはありません。
私を含めて数人ですが、そんな超絶ブラック環境でも数字を上げ、自分を失わない営業マンが何人かいました。
そして、その何人かで起業し、法人営業の世界で後々大成功を収めることになります。
もう、分かりましたよね。
得たものとは「信頼できる仲間」です。
「起業するから一緒にやらない!?」という誘いに乗ったのは、超絶ブラック環境でも自分を失わず結果を出し続けた営業マン仲間だったからなんですよね。
「あんな過酷で劣悪な環境でも逃げ出さなかった」というのが大きな信頼になったというわけです。
まぁ、それでもあそこまで酷い環境はおすすめしませんけどね(笑