私が経営コンサル営業マン時代に実際に経験した実話を出来る限りリアルにお届けてしている法人営業物語。
95回目の今回は、予告通りKさんを襲った初めての悲劇についてお送りします。
新人Kさんは、入社早々いろいろとやらかしてくれました。
しかし、仕事に向き合う姿勢は素晴らしく、放っておいても一日中受話器を置かずにテレアポをしますし、断られ続けても落ち込むこともありません。
また、Oさんという優秀な上司の教育もあり、思っていたよりは順調だったのですが…
そうです、彼を悲劇が襲ったんです。
マネージャーOと新人Kの良好な関係
マネージャーのOさんと新人Kさんの関係は、これ以上ないくらい良好でした。
ただ、Oさんは「超効率主義」でガツガツ仕事をして数字を上げるタイプではなかったので、「新人営業マンが最初からOさんの真似をしたら危険だな…」と思っていたんです。
ただ、それは私の取り越し苦労でした。
新人Kさんの「金を稼ぎたい!」という欲求は凄まじく、そのための手段である仕事に対するモチベーションも半端ではなかったからです。
大卒の新人営業マンの多くは、テレアポをすることに対して緊張してしまったり、何件か断られると受話器を置いてしまったりするものですが、Kさんはマシンのようにガンガンコールし続けるんですよ。
ちなみに、私はこれまでの営業人生で「数」に関しては誰にも負けたことがないどころか圧倒的に多かったのですが、私と同じくらいガンガン数をこなす営業マンを見たのは新人Kさんが初めてです。
「Oさんの効率の良い営業手法を学びながらも、今みたいに数をこなし続ければどんでもない営業マンに育つかもしれない!」
私は、自分と同じようなタイプの新人営業マンが現れた嬉しさを感じていた反面、「Kさんのマネジメントをしてみたかった」という寂しさも感じました。
ただ、創業メンバーの私が横からゴチャゴチャ言えばOさんもやりづらいでしょうし、Kさんも混乱すると思ったので暖かく見守るスタンスをとったんです。
メンターは2人も必要ありませんから。
Oさんの突然の退職
このころの営業部は本当に最強のチームでした。
強い営業マンとやる気のある新人営業マンしかいないんですからね。
なかなかそんな理想的な状態にはならないものです。
ただ、そんな良い状態は長くは続かなかったんですよ。
入社以来、大活躍をし続けていたOさんが、私が大口契約を決めたことが引き金になり退職することになってしまったからです。
※ この経緯については過去に書いたことがありますので、気になる方は以下の記事を読んでください。
これ以上ない優秀な人材が去って行くことにショックを受けましたが、私以上にショックを受けていたのが新人のKさんでした。
仕事も遊びもできるOさんのことをリスペクトしていたのに、突然Oさんから見捨てられたように感じたのでしょう。
「白井さん!Oさんが辞めちゃうって本当ですか?」
創業メンバーの私なら事情を知っていると思たのでしょう。
ただ、何と答えればいいのか迷ってしまって、私はその場では答えることができませんでした。
「組織の悪い部分」というか「大人の事情」みたいな理由でOさんが去って行くのは、Kさんにとっては本当に悲劇でしかありません。
少しずつ周りの大人たちに対して心を開きかけていたKさんが、また心を閉ざしてしまうことになってしまったのです。
私とKさんの歴史がはじまる
営業部の責任者に返り咲いたのですが、私には不安が2つありました。
ひとつは「Oさんが抜けた後の大きな数字の穴を埋められるかどうか」、もうひとつは「有望な新人Kさんを一人前の営業マンに育てられるか」です。
この両方を同時進行でやるだけではなく、面接など組織の仕事もやらなければならない立場に戻ったので大変なことが分かっていたんですね。
ただ、これまではAさんやOさんなどヘッドハンティングした優秀な人材が活躍してくれましたが、今後の組織の成長を考えれば、Kさんのようなまっさらな人材を育てる必要性がある」のも分かっていたので覚悟を決めました。
「中途半端な覚悟では無理だ… しばらくプライベートは捨てよう」
そして、私はKさんと本格的に関わるようになり、二人の歴史がスタートしたのです!