私が経営コンサル営業マン時代に実際に経験した実話を出来る限りリアルにお届けてしている法人営業物語。
想定外のトラブル発生でマツキヨグループを攻めることを断念しましたが、お断りをした中で1社だけ「取り敢えず来て!」という会社が出てきてしまったので、直接訪問して謝罪することにしました。
法人営業をはじめて数年。
大小合わせるとクレームやトラブルはありましたが、今回のようなケースは初めてです。
そして、この訪問で全く想定していなかった軌跡が起こりました。
営業マンであれば考えさせられる内容だと思いますので、いつもに増して可能な限り詳しくお話させて頂きます!
丸1日がかりの謝罪
「えっと、○○(謝罪に行く会社)の本部は・・・」
謝罪に行く会社の本部の場所を改めて調べたら驚きました!
何故なら、「こんなところに大企業の本部があるの?」という辺鄙なところだったからです。
東京から名古屋まで新幹線で行き、そこからローカル線に乗り換えて1時間以上、更に最寄り駅から歩くと30分以上かかるのでタクシー利用。
東京から片道4時間という道のりです。
「こりゃあ、○○に謝罪の行く日は1日がかりだな・・・」
しかも、私はフルコミッションの外交員ですので、交通費は全額自腹。
ただ、「やっぱり行きたくない」とか「嫌だな~」という気持ちはなく、「こちらから提案の機会を頂いておきながら勝手に手を引くわけだから、誠心誠意謝罪するべき!」という気持ちでした。
ということで、謝罪に行く週は名古屋やその周辺地位のアポイントを1日2件~3件用意し、出張することにしました。
訪問先は想像以上の巨大企業だった
謝罪当日。
訪問先の企業の最寄りの駅は、本当にのどかな感じの無人駅。(かなり前の話なので今はどうかわかりません)
「長閑(のどか)でいいところだな~」と思いましたが、駅を降りて驚きました。
ロータリーもなければ、車が1台もいません。
最寄り駅から本部までは徒歩30分かかるのでタクシーを使おうと思っていましたが、タクシーも止まっていないんですね。
幸いなことに駅前の錆びれた看板にタクシー会社の電話番号が載っていたので電話して呼びました。
ただ、この辺あたりから急に緊張感が増してきたんですよね。
今日の謝罪相手は大企業の常務取締役。
そして、その企業に比べたら超零細ベンチャー企業の営業マンをわざわざ呼びつけるのですから、何を言われるか分かったものではありません。
タクシーの運転手さんに、「○○本部までお願いします!」と行き先を告げると「お客さん、商談ですか?」と言われ、「それだったら、どれだけ気が楽か・・・」と思ったことを覚えています。
そして、タクシーから本部が見えたときに驚きました。
だって、私がこの会社で法人営業を初めてから数年間の間で、もっとも本部が巨大だったからです。
「おいおい、ここに俺ひとりで謝罪のために乗り込むわけ?」
ちょっと身震いしましたよ。
ただ、行くしかありません。
「あ、ここでいいです!」と本部のちょっと手前でタクシーを止めてもらい車を降りると覚悟を決めて本部に乗り込みました。
開口一番謝罪したのですが・・・
正直に言うと、その会社のエントランスや商談ルームまでどうやって案内されたか覚えていないんですよね。
私は過去の商談の殆どを再現できるほど覚えていますので、このときの記憶が飛んでいるのは緊張がそれだけ凄かったんだと思います。
ですから、記憶があるところからお話しますが、その会社の商談ルームで待っていると、先方は取締役常務と別部門の担当者がお二人で現れました。
普段だったら、「本日は貴重なお時間を頂戴しましてありがとうございます!」と名刺交換をしますが、この日は「本日は貴重なお時間を頂戴しまして誠に申し訳ありません・・・」と気まずい名刺交換に・・・
「さて、どうしよう・・・」
謝罪にきたのに世間話も変ですからね。
こういうときは小細工は必要ありませんので、開口一番こう言いました。
「この度は大変申し訳ございませんでした。今回の件ですがお断りさせてください!」
すると、常務がこのようにおっしゃったんです。
「マツキヨグループと揉めたんだって?」
私は言い訳がましいのが嫌いな性格なので、直前までは謝り倒して許して頂こうと思っていました。
ただ、マツキヨグループと揉めたわけではありませんので、常務が誰からどんな情報をお聞きしているか不安を感じたんです。
私の会社は信用が一番大切なコンサル会社ですからね。
悪い評判が広まったら会社の存続に関わる問題です。
ですから、「いえ、そういう訳ではないんですけれども・・・」と、つい口にしてしまいました。
「じゃあ、一体どういうこと?」
常務がこうおっしゃるのも無理もありません。
考えてみれば、何の理由の説明もなく「申し訳ございません」では納得できない気持ちもわかります。
ですから、「これはちゃんと説明するべきだな・・・」と考え直し、今回のいきさつを話すことにしました。
想定外の展開
ここからは、常務と私がその時に交わした会話形式でお送りします。
しばらく無言だった常務が静かにこのようにおっしゃいました。
私はね、御社がきちんと仕事をしてくれたら、それで良いと思ってるんですよ。今日来て頂いたのも当社としては話の内容次第でお願いしようと思ってるからだしね。
ですから、それはそれ、これはこれで考えてもらえないかな?
普通に新規の口座を作るだけでも大変なことです。
「常務のためにも、仕事を受注して結果でお返ししたい!」
創業以来初の東証一部上場企業との契約に!
とても喜んで頂くことができました。