とある地方都市に百店舗近く店舗展開をしているドラッグストアの担当者デモ商談の保留が見事起きました。(契約になりました)
家賃コンサルの契約だったので、地代家賃が高い大型路面店を百店舗も受注したのですから、会社はお祭り騒ぎの大盛り上がり。
しかし、大口契約を締結した当の本人の私は憂鬱でした。
それは、ライバル営業マンのOさんにとどめを刺すようなものだからです・・・
私が経営コンサルティング会社の営業マンだったときの実話をもとに、法人営業の奮闘記としてシリーズ化した法人営業物語。
83回目の今回は、素直に喜べない大口契約というお話です。
査定最終月の逆転満塁ホームラン
私が百店舗近く店舗展開しているドラッグストアと契約したのは、3ヶ月査定の最終月でした。
3ヶ月間の営業成績で年4回人事の見直しがあるのですが、会社の創業メンバーでありながら、新人として入社してきた営業マンのOさんに営業部の責任者の座をあっさりと奪われてから早2ヶ月半。
ドラッグストアとの契約は初めてではありませんが、ここまで店舗が多い会社との契約は初めて。
その上、次の査定で確実に営業部の責任者に返り咲くことが決定的になったのですから、普通であれば祝杯でもあげたいところです。
しかし、私は到底そんな気分にはなれませんでした。
「嫌な予感がする・・・」
営業部のOさんはプライドが高い上に、一日も早く社長の右腕になって会社を牛耳りたいと思っているところでの降格ですからね。
事実、以前よりも格段に私の数字が上がるようになって焦っていたのか、社長に対して「早く上層部にして欲しい」と何度も打診してプレッシャーをかけていたようです。
Oさんの退社を決定づけたのは意外な理由だった
私は創業から暫くの間、たった一人で会社の業務が途切れないように契約を取り続けた時期があったので、強力なライバルではありますがOさんの存在は有難かったんです。
事実、Oさんが入社してからというもの、Oさんと私で案件をビシバシ取ってくるようになり、コンサルティング事業部の人員を増員したことで会社の業績も格段に上がるようになりました。
そんな良い状況で、Oさんの退社が決まってしまったんです。
もちろん、退社に至る理由はいろいろあったと思いますが、直接引き金を引いたのは意外なことだったんです。
それは、Oさんの自分中心の言動に対して、コンサルティング事業部のAさんが飲みの席で言った一言だったそうです。
「そんなんだから、お前には友達がいねえんだよ!」
この頃、私は会社の飲み会からは足が遠のいていたので実際に現場を目撃したわけではありませんが、そんなことがあったと飲み会に参加した同僚が教えてくれたんです。
そもそも、Oさんを引っ張ってきて入社のきっかけをつくったのはAさんなので、そのAさんに飲みの席とはいえ痛烈に批判をされたのはショックだったのでしょう。
それにしても、組織って難しいですね。
優秀な人間ほど、活躍もしますがあっさり辞めてしまうのですから・・・
営業マンに学んでもらいたいこと
大口契約を取ると、テンションはMAX、大はしゃぎしたい気持ちになるのは理解できますが、そういうときこそ謙虚な気持ちを忘れてはいけません。
私の大口契約がOさんの退社の原因のひとつになった例のように、あなたのオーダーによって、何かしらの影響を受ける人間が社内にはいるからです。
「そんな人の幸せを素直に喜べない奴なんて最低じゃん」
こういう意見もその通り。
しかし、世の中は正論が全てではありませんから。
それに、涼しい顔でめちゃくちゃいい仕事する方がかっこいいじゃないですか!
下手に嫉妬されたり、敵を作らないための組織人としての知恵ですので覚えておきましょう。