私はまだ新人営業マンだから…
こういう言い訳を抱えた甘ちゃんな新人営業マンが多すぎます。
アポもデモもやるからには練習なんてありえない。
練習に付き合わされるお客さまの立場を考えれば当たり前のことです。
私は、複数の営業会社を経験していますが、ただの1度も「これは練習だ!」と思って現場に出たことはありません。
この訪問販売物語のシリーズは、営業マンのみなさんの参考になればと、私の過去20年間の営業人生(BtoCのとき)を出来るだけリアルに振り返った物語です。
さて、今回は教材販売会社で初オーダーをあげたときのお話をしますね!
テレアポ初日に初アポをゲット

アポ振り営業の営業会社に入社したはいいものの、先輩営業マン達に優先的にアポが振られるので、アポが回ってくるのを待っていたらいつになるか分かったものではありません。
実は、この会社には3ヶ月の使用期間があり、その間は売上ゼロでも最低保証給が支給されます。ただ、私はそんなお小遣いをもらうために転職したわけではないですからね。
同期の新人営業マン達がマニュアル暗記で苦戦している中、私は所長にお願いして自アポをさせてもらうことにしました。
幸いにも、私はアルバイト時代に家庭教師のテレアポをしていた経験があったので、同じ教育系ということで自信があったんです。
「お!アポかけるの? 断られるのは当たり前だから気楽にやんなよ!」のように、先輩営業マンやベテランアポインターさんに声をかけられましたが、私の心の中はこうでした。
「おいおい、電話する前から取れないときの話かよ… 見てろよ。いっちょ驚かしてやるから!」
そして数時間後の終礼。
「本日報告します。アポ1本です!」と報告すると、先輩営業マン達から歓声が上がりました。
「すげえじゃん!初日にアポゲットかよ!!」
そう言われましたが、私は嬉しくもなんともなかったですね。
「ありがとうございます」と口では言っているものの、「アポ貰うことが当たり前になってる先輩営業マンが先輩風吹かしてるんじゃねーよ」と思っていました。
初契約の初デモは無茶苦茶だった
アポ当日。私は自家用車兼営業車で、伊勢原市の大型マンションに向かいました。
少し早く着いたので待機していたのですが、車で待っていてもソワソワして落ち着かないので、15分前には玄関の前に立っていました。
「よし!絶対に決めてやる!」
営業経験は十分でも、その会社での初デモの緊張は格別です。
ドアフォンを鳴らすと、推定20代後半のお母さんがドアを開けて中へ通してくれました。
「とりあえず、居留守とドタキャンじゃなかったか…」
少しだけホッとしていると、次の瞬間にこう言われました。
「ここでいいですか?」
そんなに甘くはありません。
営業マンが訪ねてきたので、警戒心や猜疑心バリバリです。
「もちろん、いいですよ!」とニコニコで言ったまでは良かったのですが、問題はそこから。
教材販売なので、教材はもちろん、ニーズや料金説明用のアプローチブックを開いて説明する必要があるのですが、玄関先にそんな商談スペースのようなものはありません。
(今考えれば、玄関先に座り込めばいいだけなのですが、そういう冷静な判断が出来なかったんです)
困った私は、「ここいいですか?」と下駄箱の上のものをどけてもらって、その上にアプローチブックを広げて商談しました。
なんと、立ちっぱなしで3時間です。
初デモだったので説明の仕方も容量を得ていませんでしたし、ローン用紙を記入するのに手間取ってしまって時間がかかり過ぎました。
営業マンの私も大変ですが、聞いている奥さんはもっと大変だったでしょう。
でも、無事に即決になり、クーリングオフなく、無事にネット(正式に契約になること)しました。
営業所長に気に入られてアポが貰えることに
新人営業マンが自アポで契約を上げたということで、所長は大喜び。「俺も現場を回っているときには自アポで売上を叩いてたんだよ。毎月最初の1本だけでいいから自アポを取れ!そうしたら、お前にアポ回してやる理由になるから」
この所長、パンチパーマでおっかないですが、非常に公平に物事を考えるいい人でした。
そして、約束通り初月からアポを振ってもらったのですが、私はアポを振られる大変さに、この時は気が付いていなかったんですよね…
次回に続く。
営業マンに学んで欲しいこと
マニュアルをいつまでも眺めていてテレアポをしない、飛び込めないという営業マンはお話になりません。「とりあえずやってみよう!」という思い切りは大切です。但し、「とりあえずやってみよう!」で行動を起こすのはいいですが「最初だから」とか「新人だから」という考えで現場に出てはいけません。
営業の仕事は、こちらから働きかけてお客さまの貴重なお時間を頂く仕事です。
ですから、練習なんて許されません。
下手でも無様でもいいので、真剣勝負をする必要があります。
それが、お客さまへの営業マンとしての最低限の礼儀ですから。