営業人生で一番キレッキレの商談 BHS第35回

このBHSシリーズは、私が経営コンサルティング会社の営業マンだったときのリアルを可能な限りそのままお伝えしています。

最悪の状況の中の光

前回は、超重要な商談の前に食べた寿司が直撃してトイレに駆け込むという失態を犯してしまったのですが、この影響で事態はとんでもない方向へすすんでいってしまいます。

一体、結末はどうなるのでしょうか。


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最悪の状況

さて、トイレに入った私は、1秒でも早く終わらせなければならない状況だったのですが、お腹が痛くてそうもいきませんでした。もし、商談中にもう一回「トイレいいですか?」なんてことになったら、さすがに終わりですしね。

時間にして5分~7分位だったでしょうか。

「頼むから待たされていて、商談がはじまっていませんように…」

祈るような気持ちで商談相手の学習塾本部に足を踏み入れると、そこには今までに見たことが無いような地獄絵図が展開されていました。

そうです、入り口近くのパーテーションで仕切られた商談スペースから、(うちの会社の)社長のようすが見えたのですが、顔面蒼白な上、あきらかに困惑しています。

「や、やべえ!」

実は、社長と私の2人で商談に行く場合は、私がグイグイ踏み込む押しの営業、社長は顧客の話を受け止める引きの営業と役割分担をするスタイルなので、商談を引っ張っていく営業マンの私が急遽いなくなったら慌てないはずがありません。

しかも、商談相手の学習塾の社長は既にいらっしゃっていました。

「帰ろっかな…」

あまりの最悪な状況に、こんな出来もしない気持ちにもなりましたが、営業マンとして逃げるわけにはいきません。

それに、私がトイレに行ったことが原因で、この商談を外すことになったら(うちの会社の)社長に一生恨まれ続けることになることは目に見えています。

「よし!」

武者震いが止まりませんでしたが、商談に臨むスイッチを入れました!

マイナススタートの商談

私はパーテーションで仕切られた商談スペースに向かう10秒にも満たない短い時間の中で、こんなことを考えていました。

「それにしても、何故こんな最悪の雰囲気になっちゃっているんだろう…」

(うちの会社の)社長の営業力は、そこら辺の営業マンよりもずっと上です。私がトイレから戻ってくるまでの間を世間話で繋いでおくことくらいは簡単に出来るはず。

「大変お恥ずかしいところをお見せして申し訳ございません。〇〇の白井です…」

先方の社長と名刺交換をしたときの感じたことは2つ。

  • 総務部などにいそうな温厚な見た目
  • 明らかにイラついている
「やっぱりそうだよね…」
当然ですが、この商談は既にマイナスの状態になっていました。

しかし、何故ここまで酷い雰囲気になってしまったのかは、この時点ではわかりません。

私は、不思議に思いながらも、既に始まっている商談の流れを止めるわけにはいかないので、どこからどうやって商談に参加するか少々ようすを見ることにしました。

大いなる勘違い

5分~10分くらいだったと思います。
商談のようすを見ていて気が付いたことがありました。

(うちの会社の)社長はアプローチブックを使って、コンサルティングの必要性(つまりニード)の話を丁寧にしていたのですが、先方の社長には全く響いていません。

「も、もしや!?」

私は、ピンときました。

そもそもこの商談は、コンサルティングに入ったらどのくらいの経費削減に繋がるか事前調査をしていました。もちろん、調査結果を伝えるだけではボランティアになってしまいますから、契約を取りにいきます。

だた、いきなり調査結果を伝えると先方がお腹いっぱいになってしまいますので、セオリー通りニードを丁寧に入れているのですが、これが先方の社長をイラつかせている原因のようなのです。

私は、話のキリがいいところまで待って、次のように商談に割り込みました。

「社長、ここからは私がご説明させて頂きますね」

キレッキレの商談で勝負

「社長!今日お持ちするお約束の調査結果なのですが…」
私はニードの話の続きではなく、いきなり調査結果の報告へと話をガラッと変えました。

先方の学習塾の社長は結論から聞きたかったのではないかと予測したのです。
どちらにしろ、マイナスの状態からのスタートですから、普通にやっていても契約になる確率は極めて低いと言わざるを得ません。

思い切って方向転換して勝負をかけることにしたのです。

「これが、事前に情報を頂いていたお教室の調査結果なのですが…」

そういいながら、先方の社長のようすを見ていると、不機嫌ながらも少しだけ身を乗り出して調査結果の書類を見ています。

「イケる!」

確信した私は、「結論」→「根拠」、「結論」→「根拠」という単刀直入な商談に切り替え、更に、調査結果の報告をしながら、コミュニケーションとニードを図るというセオリーとは違った商談をすすめたのです。

すると、先方の社長の表情が見る見る明るくなり、最後の教室の調査結果を話す頃にはニッコニコに変わっていました。

最悪の商談から学んだこと

結局、この商談は即決こそ取れなかったものの、無事契約になり40教室近くのコンサルティングに入らせて頂けることになりました。

もちろん、結果オーライと単純には笑えません。
社運がかかった商談でお腹をこわして商談前にトイレに駆け込むなんて営業マンとして最低レベルな行為です。

これ以降、私は絶対に商談前に食事をすることは無くなりました。


さて、そういった反省だけでなく、この商談からは学ぶことが沢山ありました。

まず、どんなに最悪な状況からでも逆転は可能だということ。
本当にどれだけ酷い雰囲気だったかみなさんにお見せしたいくらいでしたからね。

営業マンたる者、どんな状況からでも契約を狙わなければならないと再認識しました。


そして、次は人は見かけで判断してはいけないということ。

実は、総務部にいそうな学習塾の社長さんは、学生時代に体育会の空手部の部長をしていたスポーツマンだったのです。

その見た目に騙されて、慎重過ぎるニードを打ってしまったのが商談の空気を悪くした原因だったんですね。(そもそも私がトイレに駆け込まなければ、こんな事態になっていませんので、私が原因ですが…)


この商談は、飲み会のたびに酒の肴になる伝説の商談になりましたが、それは運よく契約になったから。

もし、否決になっていたかと思うと、今でも背筋がゾッとします(笑


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