エステ企業との大トラブル【完結編】 BHS第18回

業務担当のYさんとエステ会社の本部に乗り込んで役員と直接対決したものの時間切れ。何の解決にもならなかったのですが、私達に残された時間はほとんどありません。

事務所と電話

起業半年で、倒産か延命かをかけたエステ企業との最後の戦いがはじまるのでした。


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エステ会社の担当部長が会社の近辺に!?

「大変なことが起きました!」
帰社してきた業務担当のYさんは、ただ事ではない形相です。

「何があったの?」
社長のTさんと私がきいたところ、もめているエステ会社の部長が私達の会社のすぐ近くをウロウロしていたらしいのです。

「それで、部長はどうしたんですか?」
私達が慌てて聞いたところ、Yさんがいろいろと理由を付けて何とか先方の部長を最寄りの駅から電車に乗せて帰らせたというのです。

「はぁ~…」
社長と私は息を吞むような気持ちでしたが、その結論を聞いて胸を撫で下ろしました。

というのは、その当時の私達の本社はワンルームマンションの1室で、とてもじゃないですがコンサル会社として「ここが本社です」って堂々と言えるようなところではなかったんです。もし、こんなマンションの1室が本社だとわかったら、完全に舐められてしまって速攻で訴訟に持っていかれるかもしれません。

別にこちらに落ち度はありませんが、当時の私達の会社は資金が底をついており、弁護士を雇う費用さえ払えない状況だったので、「訴訟=倒産」という状況だったのです。

「とりあえず、Yさんのファインプレーだね」

しかし、ホッとしている場合ではありません。もともと、一日でも早く結論を出さなければならない状況でしたが、今回のようなことが起こると、更に急がざるを得なくなりました。

そこで、社長と私、業務担当のYさんで緊急ミーティングをすることになりました。

先方の部長の様子から推測できること

「そういえば、部長がうちの会社に来ようとしていた目的ってなんだったんですか?」

Yさんに聞くと「(コンサルを受ける際にうちに渡している)『資料一式を取り返して来い』」って言われ来たみたいです」という答えが返ってきました。

「でも、なんで部長ともあろう人が自ら資料を取り戻しに来たんですかね…」社長のTが不思議に思っていたので、「初デモ(最初の商談)のときに感じたことですが、名ばかり部長って感じで、とても50億のエステ会社の部長には見えませんでした」と私なりの見解を言いました。(後にこれが大きなポイントとなります)


そうそう、ここで社長のTさんに関してお話ししますね。

このTさんは、洞察力というか分析力がとてもある人です。私などが全く思いつかないような角度で物事を見る力があり、「なるほど」って唸ってしまうようなアイデアやアドバイスをくれます。(私がTさんの起業の話にのった理由のひとつに、自分に無いものを持っているタイプの違う人間だったからです)


話を戻しますが、相手の会社に乗り込んだときのことや先方の部長が資料を取り戻しに来たことなどをいろいろ考慮して考えると、「契約を全く無かったことには出来そうもないから、1円でも値切ってやろうという」というのが先方の狙いじゃないかとTさんは確信したようです。

私も今までの経緯を思い出して考えてみました。

まず、電話の時点で興味津々だった先方の社長とのアポイントの設定に成功し、料金など最低限の説明をしたものの、「時間がない」ということで「あとは、担当者と話を詰めておいて」ということで5分で社長が退席。その後契約までの窓口になった(契約書の文言の変更なども含め)のが先方の部長でした。(この時点までは、先方の本部長は出てきていません)

そして、突然の業務停止の電話がきて慌てて先方の本部に乗り込んだときに、先方の本部長が出てきて料金にクレームをつけてきたわけです。推測ですが、危機管理とかリスク管理部門、もしくは、財務担当である本部長は部長から事後報告(うちとのコンサル契約)を受け、納得できる内容ではなかったのでしょう。

「また、2人で話をつけに乗り込んでもらうしかありませんね」先方に連絡して、二度目の直接対決をするという方向で話はまとまりました。

「こんなピンチに社長が出ていかないのか?」と思った方もいるかもしれませんよね。このような結論に至ったのは、「現場で起きたことは現場の人間が最後まで責任を取る」ということと、当時4人しかいなかったので、私達の上は社長のみ。「社長が出ていって話がまとまらないときは最後」ということで、限界まで現場の人間たちで頑張るという結論に至ったわけです。(まぁ、社長のTさんの矢面には立ちたくないという性格もあるのですが…)

しかし、この作戦はあっけなく崩れ去ります。
それは、こちらが仕掛けるより早く、先方から電話がかかってきてしまったからです。

社運のかかった電話での激しい攻防戦

「○○(エステ会社の社名)の○○本部長から電話です!」
内勤のAさんの声を聞いて、ワンルームの事務所に経験したことがないような緊張感が走ります。

そして、「私が対応します」と社長のTさんが電話に出ました。

どのくらいの時間電話が続いていたのでしょうか?シーンとした事務所内に社長の声だけが響きます。私達3人は、声を潜めるどころか、一言も話すこともなく社長の声に耳を傾けて固唾を飲んでいました。

「どうにかいい方向で決着して欲しい…」祈るような気持ちで様子を伺っていましたが、普段から冷静沈着で滅多なことでは怒鳴ったりしない社長のTさんの表情がみるみる変わってきました!

「やりますか?」(裁判で勝負しますか?という意味)

「もう終わりだ…」頭の中で倒産という言葉が浮かんだのは私だけではなかったはずです。
「起業、半年であっけなく夢破れてしまうのか…」こんなことを考えているときでした。

さすがは起業の発起人のTさん、それでも、契約書を引っ張り出してきて、相手の本部長と契約内容の確認などをしています。自分を含めて4人の人生がかかっていますし、簡単に引き下がるわけにはいかないのでしょう。


しかし、そんな劣勢の激しいやり取りの中、突然風向きが変わりました。
それは、契約書の文言を確認しているときに、どうも先方の本部長と社長のTさんの言っていることが噛みあわなくなったのです。

「すみません、こちらの契約書にはそのようなことは書いてありませんが…」
社長のTは困惑を隠せない表情で電話していましたが、段々とその表情が変わってきたんです。

そして、長時間にわたる電話での戦いが終わり、Tさんはこう言いました。
「これ、多分報酬を支払ってもらえますよ」

そして、1週間もしないうちに報酬が会社の口座へ振り込まれました。
私達ベンチャー企業は首の皮一枚でしたが、このピンチを乗り切ったのです!

戦いを制した理由

でも、ここまで読んだ人は「何故、(しかも電話で)決着が付いたのか?」って不思議ですよね。ですので、その種明かしをしたいと思います。

まず、この決着がついたのには2つのポイントがありました。ひとつは「契約書の文言変更をしていたこと」それと、契約書を取り戻しに来た「部長」です。


実は、さっきの電話での攻防戦で契約書の文言確認をしたときに、先方の本部長と社長のTさんの話がかみ合わなかったのは、お互いが違う契約書を見ていたからなんです。

社長のTは最終的に契約を締結した時の(文言変更後の)契約書を見ていたのに対し、先方の本部長は(文言変更前)の契約書を見ていたのです。

そして、この勝負ところの大切なときに文言変更前の契約書を本部長に渡したのが部長だったというわけです。

これは、電話を切った後、社長のTから聞いたのですが、「もしかして、その契約書って文言変更前のものではないですか…?」と言ったところ、数秒の沈黙の後「○○~(部長の名前)、テメーー!」という本部長のどなる声が聞こえたそうです。

そして、今まで「営業マンの説明が悪い」とか「そんな契約をした覚えがない」など、無茶苦茶なクレームを付けていたにも関わらず、見ていた契約書が文言変更の前のものだったという失態を犯して、それ以上はゴネることが出来なくなってしまったというわけです。

つまり、仕事のできない部長の失態に我々はギリギリのところで救われたのです。


そんなこんなで窮地を乗り越えたわけですが、私は初めて法人営業の負の部分を経験して変ったことがあります。それは「契約」に関してシビアになったということです。

もともと、誰かの保証人になったりしたこともありませんし、契約を舐めていたわけではありませんが、「こちらに落ち度がなくても契約で揉める」ということを経験したので、より一層厳しく考えるようになりました。


エステ企業との大トラブル編は今日で終了です。
次回から、新しい内容に移りますので、お楽しみに。


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