このシリーズ「法人営業物語」は、私が経営コンサルティング会社の営業マンだったときのリアルを可能な限りそのままお伝えしています。

法人営業をしている営業マンで、銀行からの出向社員との商談経験がある方もいるのではないでしょうか。

私も過去に何度か銀行からの出向社員の方と商談したことがあるのですが、実はその1回目がかなりドキドキものだったんですよ。

だって、同僚が初めてゲットした大型案件アポに上司として同行するという状況だったんですから。

「駄目なときは駄目なときです!白井さんの好きなようにやってもらって構いません!」と言ってくれてはいるものの、やっぱり外したらショックでしょうしね。

今日は、その商談の一部始終をお送りします。

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極上アポに同行することになった理由

営業同行

創業メンバー4人以外で最初に入社してくれたMさんが、極上アポを取りました。
クールなMさんが珍しく興奮しているところを見ると、本当に美味しい案件なのでしょう。

「契約になるといいな~」と自分のことのように喜んでいると、「白井さんちょっといいですか?」と社長から呼ばれ社長室に行くと、Mさんもそこにいました。

「Mさんのアポ、白井さんに同行してもらっていいですか?」

私に断る理由はありません。でも、ちょっと不思議だったのは、Mさんは仕事が出来ますし、ちょっとやそっとでは他人に頼るようなことはありませんので、「何かあるな…」と思ったのですが、その予想が的中してしまいます。

「このアポなんですけど、都内に40店舗ほど店舗展開している会社で、社長と経理担当と… あと、もう一人手強そうなタイプが同席するようなので、白井さんに同行してもらおうと思いまして…」

そうです。
その手強い相手とは「銀行からの出向社員」だったんです。

銀行にとっては社員の働き場所を確保できますし、企業にとっては資金の借り入れなどで便宜を図ってもらったり、銀行の持っている情報やコネクションを使わせてもらえるなど、双方にメリットがあるので、銀行からの出向社員がいる企業ってありますよね。

ただ、営業マンにとって銀行からの出向社員はやっかいです。コンサル会社の営業マンがどれくらいのレベルなのかを会話の中で探るなんて簡単でしょうからね。

ですから、そこら辺のことを考えて同行という指示になったのでしょう。

1日営業本部長に就任

「銀行マンか…」

普段は喜んで新人同行などを引き受ける私ですが、このときばかりは緊張感が走りました。だって、この時点での私のコンサルティング会社でのキャリアは1年ちょっとだったんですから。

銀行マンに、重箱の隅をつつかれるよう質問を連発されたら、全てに的確に答えられるかは分かりません。もちろん、その日から「商談で質問されそうなこと」を想定して夜な夜な睡眠時間を削って勉強しましたが、時間も限られていますので網羅はできません。

「一番の理想は、こちらの土俵で戦うことだな…」
こう思ったので、私は社長にひとつお願いをしました。

「社長、私に出来るだけ上の役職をください!」

実は、この当時、私は創業メンバーといっても「役職」などはありませんでした。会社の規模も小さく社員が少ないのもありますが、「フラットな会社にしたい」という社長の方針もあったからです。(ですから、社内では社長も含めて「さん付け」で呼び合っていました)

何の役職もない名刺では、舐められてしまうと考えたからです。

「・・・・・」

社長は数秒間の沈黙の後、「では、営業本部長にしましょう!」ということで、商談の日だけの1日本部長が決定しました(笑

剛腕銀行マンとのピリピリした商談

商談当日。
私の緊張感はMAXまで高まっていました。

「銀行マンと同等に渡り合えるだろうか…」という心配と「Mさんのためにも、この商談を外すわけにはいかない」というプレッシャーです。

というのは、Mさんは、以前勤めていた営業会社で私の上司だったんですね。ですから、元部下にお願している状況なのです。その気持ちを考えたら、絶対に外すわけにはいきません。

「Mさんへの恩返しのためにも、絶対に決めてやる!」

商談場所である本店を目の前にして覚悟が決まったのか、自分の中でスイッチが入りました!

5対2の戦い

会議室兼商談ルームのよう部屋に通されて待っていると、先方は社長と銀行マン以外に、経理責任者の女性を含め、あと3人が席につきました。

5対2の戦いです。

Mさんが商談をガンガン進め、私は肝心なところや向こうの質問に対してだけ答える(余裕を感じさせる狙いもあり)という戦略をとりました。

ただ、さすがはMさんです。

通常、「これは外せない」という商談だけでもカチカチになる営業マンが多いのですが、更に5人相手にいい感じで商談を勧めていきます。

特に、銀行マンは政治家の鈴木宗男さんに、顔も声もそっくりで「圧」を感じるタイプだったので、そのプレッシャーたるもの半端ではありません。

そんな中、涼しい顔で商談を勧めるのですから「やはり、訪販の世界で鍛えられた営業マン」は違います。

「俺も負けられない!」と、自分の出番が来るのを静かに待ちました。

銀行マンと営業本部長の戦い

Mさんの見事な商談のおかげで、社長をはじめ「なかなか良さそうだな…」という空気感になっている中、やはり銀行マンから「でもね、これってトラブルになる可能性あるんじゃないの?」というリスク面の質問が飛んできました。

ついに、私の出番です!

事前に、質問には私が答えると役割分担をしていたので、これ以上ないくらい「キレキレ」で答えました。ただ、いつもはイケイケの営業マンですが、この日は余裕ある本部長という雰囲気でですが(笑

私は、先方から都合の悪い質問が飛んでこないように、こちらからもさりげなく質問をすることで、私達の土俵で戦えるように誘導し続けました。

結果、「契約書の内容を精査させてください!」と、その場で捺印はもらえないものの、ほぼ即決という状態で商談を無事終えることができたんです。

商談後、「白井本部長最高です!」とMさんが言ってくれたのは嬉しかったな~。

もちろん、その後契約になったことは言うまでもありません。

最後に

誰でも「自分には無理かな…」とか「責任重大だな」という仕事が回ってくるときがきます。そのときに「他の方にお願いできますか?」と逃げるか「わかりました!やらせてください!」と思い切って引き受けるかで、その人の成長スピードは多きく変わってしまうんですね。

あなたに不可能なレベルの仕事は絶対に回ってきません。つまり、回ってきた時点で「難しいかもしれないけど、出来る可能性がある仕事」なわけです。

ですから、出来る限り引き受けるようにしてみてください!
仕事を終えたときに、大きな自信を感じられるはずですので!!